久住昌之『
野武士、西へ 二年間の散歩』
(集英社、2013)
東京に住む散歩好きの久住さんが、ふと「大阪まで散歩したい」と思いつき、行けるところまで行って、電車で帰ってくる。
次はまた電車でそこまで行って続きを歩く……。
と、ちょっとずつ大阪に向かって歩いた、二年にわたる大散歩の記録です。
「へー、そうなんだ」
「くっくっく」
しょっちゅう声に出してはこの本を読んでいた夫の様子を見て、なになになに? と無性に気になったのが手にとったきっかけです。
読み始めると……散歩の情景が思い浮かんできて、 私もおのずと声
(もしくは笑い声)の出る箇所が頻発。
ルポならではの迫力。
だけど、かろやか。
テンポよく続く短めの文章が心地よいです。
歩き続けているうちに、広重の描いた「東海道五拾三次」と風景が重なるのを体感したという話にも、時空を超えた風景がそこに見えてくるようで、感動したのでした。