
東村アキコ『かくかくしかじか』(全5巻、集英社、2012〜2015)
漫画家・東村アキコさんの自伝コミック。
藤子不二雄Aさんの『まんが道』しかり、漫画家になるまで(と、なってから)の話というのは、臨場感あふれていて面白いです。
自分のことをきれいに(格好よく)見せようとしていない、包み隠さなさ感が痛快です。女性には珍しいタイプかもしれません。
とはいえ、自分が大好き!な性分も心得ていて、そんな客観性がエンターテイメントにつながっているとも感じました。
昔、群ようこさんのエッセイを読んだとき、やはり自分を飾らないたんたんとした語り口が不思議と心に残り、こんなふうに書けたら(強いだろうなぁ)と憧れたことを思い出しました。
このマンガでは、美大受験のとき通った、宮崎にある絵画教室の、日高健三というスパルタ先生と過ごした時間のことがたくさん描かれています。
この日高先生が強烈な魅力を持った人物。
美大を受験する方や、絵を描いている方には直球でおすすめしたいですが、そうでない方も、ぜひみなさん、読んで読んで。
そして泣けます。
単行本の最終巻には、日高先生が表紙に。
読み続けてきた者にとってはものすごく美しく感じる表紙です。
発売されたとき、書店で「日高せんせい!」と声に出して、手にとりました。