
鈴木成一『装丁を語る。』(イースト・プレス、2010)
装丁家の鈴木成一さんがこれまで手がけた本の中から約120冊を選びだし、どんな意図で装丁したかを語ったもの。
具体的なテクニックの話もですが、装丁に対する考え方がシンプルな言葉で響いてきて、とてもよかったです。
「編集者と一緒に作っていくものなので彼ら彼女らの反応が重要なんですね。読者の反応って見えにくいですから、まず目の前の編集者を喜ばせる。そうすれば、その先の読者にもつながっていく」という言葉も響きました。
以前、出版の仕事をしていたときは「作って+売る」 過程で、お客さまの顔がダイレクトに見える環境にいました。
それは今でも財産のように感じています。
デザインやイラストの仕事は、直接にはお客さまの顔が見えづらく感じるときもあるかもしれないけれど、そうだそうだ。
依頼してくださった方の向こう側に、見たり使ったりしてくださっている人がいる。
と、再確認するような、ふんどし(装着してませんけどね)を締め直すような気持ちになりました。
どんな紙や印刷の加工を使用したかもそれぞれの本ごとに記載されていて、データブックとしても参考になる嬉しい一冊。