August 15, 2017

朗読の世界すらもマンガになった/『花もて語れ』



片山ユキヲ『花もて語れ(小学館、全13巻、2010〜2014)

働く人のお昼ごはんを紹介するNHKの「サラメシ」。
以前、わたくしの故郷が取り上げられたことがありました。

ナレーションの中井貴一さんの口から慣れ親しんだ地名が。
そのトーンが滋味あふれていて感動してしまった。
声で、一言で、 人をこんなに感動させることができるなんて。

ずいぶん前に録画したままになっていた、NHKの「世界ふれあい街歩き」のフィンランド編を見たときのこと。
田畑智子さんのナレーションが、ほんとにその場をてくてくお散歩しているようだった。

田畑さんは子役の時から演技が上手いと評判だったけれど、こういうことが自然に(見えるように)できるなんて、やっぱりただものではないってことですね。
中井貴一さんもしかり。

朗読をテーマにしたマンガ『花もて語れ』。

朗読というのは、間違えずに読むこと、適切なところで抑揚をつけること……なんてことが大切なのではなくて。
語っているのは、本人なのか、第三者なのか、それとも……。
語りの視点をどこに置くかで物語の世界が違って見えてくる立体的なものだと、朗読の奥の深さを伝えてくれる、ほかにはないタイプのマンガです。

中井貴一さんや田畑智子さんのナレーションを聞いていて、このマンガで知った世界が重なりました。