
井上夢人『おかしな二人 岡嶋二人盛衰記』(講談社文庫、1996)
作家志望でもなかった二人の男性が「江戸川乱歩賞に応募してみよう(印税も魅力的だし)」と、岡嶋二人 (おかじまふたり)というペンネームで推理小説を書き始め、7年目にして受賞。プロの作家としてデビューし、28冊の本を出し、コンビを解消するまでの18年を、二人のうちのひとり、井上夢人さんが綴ったエッセイ。
宣伝文には「ファン必携の一冊」と書かれていましたが、推理小説どころか小説さえほとんど読まない私ですが、勢いとまらず読み進みました。
ひとりがアイデアを出し、ひとりが文章を書く……という役割分担がいつしか定着。どんなふうに作品が作られていったかという話は推理小説を読むように面白かったです。
その役割分担が二人の小説を生み、やがてコンビを解消する導火線にもなっていくのだけれど。
いちばん最後の「おわりに」の文章は、読むたび泣きそうになります。
実際にプロになってからが大変。
それまでのストックが役に立ったという話もうなずきながら読みました。