
森枝卓士『干したから・・・ (ふしぎびっくり写真えほん)』(フレーベル館、2016)
お日さまたっぷり浴びて、パリパリになった果物が散りばめられている表紙。ドライフルーツ好きには小躍りしたくなるような、愛らしさです。
私たちの身近にあるものから、世界の市場で見つけたものまで、様々な「干したもの」が出てきます。
シイタケ(干しシイタケ)、大根(切り干し大根)、柿(干し柿)にブドウ(干しブドウ)に小魚(煮干し)……生のときと干した後では、見た目も味わいも、まるで別物のよう。そう、ふだんは同じものと意識せず、別のものとして楽しんでいたことに気づきました。
干した野菜には栄養がたっぷりとはよく耳にする話。お日さまをたくさん浴びた野菜は、干したあとの布団のよう。お日さまの香りがしてくるようで、直感的にも、生の新鮮なときとはまた違った美味しさを感じます。
まだ冷蔵庫のなかった時代、野菜や魚を干すことは、食べ物を少しでも長く保存するための工夫のひとつでした。
私たちにとって身近な、あんなもの・こんなものも、年に一度収穫されたものを干して、毎日食べられるよう工夫されていたことに改めて気づかせてくれる、子どもも大人も楽しめる写真絵本です。