September 11, 2017
ロードムービー感覚コミック/『デボネア・ドライブ』
朝倉世界一『デボネア・ドライブ』(全3巻、エンターブレイン、2008〜2010)
デボネアというのは、三菱自動車が昔つくっていた車種の名前。
ちょっと昔のアメ車っぽいセダン。
「debonair」という単語には、「愛想のよい」「陽気な」「のんきな」という意味もあるようです。マンガの世界にぴったり合っています。
デボネアに乗って、千葉から津軽へと向かう道中のあれこれ。
まるでロードムービーを見ているような心地よさ。
この間(ま)。
魅了されます。
「天才」と言うと、努力しないでも出来てしまう人のようにとらえられがちですが、その人の持っているもの(授かっているもの)……という意味で、天賦のもの、感じます。
朝倉さんの描く女の人はほのかに色気があって、赤ちゃんもかわいらしい。
中でも、おじいちゃん・おばあちゃんがとってもいいです。
一見、脱力系の作風。
されど、車の疾走感、季節や時刻を感じる風景の俯瞰図……
ただものでない描写力を感じます。
『デボネア・ドライブ』を読むきっかけになったのが、朝倉さんの『春山町サーバンツ』( KADOKAWA/エンターブレイン、2012)の巻末広告文。
どれもが、朝倉さんに対するリスペクトと愛がてんこもり。
やりたいことやってますって感じの本作りがとってもよかったのでした。
ところで、『デボネア・ドライブ』からも『春山町サーバンツ』からも、和菓子への愛情を何気に感じたりします。